第2回目の名誉団員紹介は俳優の佐野史郎さんです。佐野さんのご実家は島根県松江市で代々医院を営んでおり、佐野さん自身7歳から高校卒業まで松江で過ごされました。そんな佐野さんに島根に寄せる思い、お気入りの場所などを伺いました。
松江の実家には今でも年に3~4回は帰ってます。テレビ番組等のロケや取材で帰ることも少なくないので。 3年前からは松江市の観光課に呼んでいただいて、年1回のペースで秋に小泉八雲の朗読会をやっています。2年目からは、松江南高校のクラスメイトで、ロックバンド「BOWWOW」のメンバ-として活動している山本恭司氏が一緒に参加してくれることになったんで、僕が台本を書いて、キョージに作曲してもらって、僕の朗読と、キョージのギター一本でコラボするという形でやってます。
昨年からは東京でも行い、今年は地方での公演予定もありますし、積極的に展開していきたいと思っています。
はい。松江の人間にとって、ラフカディオ・ハーン=小泉八雲(松江では「へるん」さんと云います)は馴染み深い作家です。とはいえ、それまでは『怪談』やいくつかの著述しか読んだことのない僕でしたが、小泉八雲の曾孫でありハーンの研究者である小泉凡さんと知己を得てからは、八雲関連のシンポジウムやイベントに、度々呼んでいただいたこともあり、自然と熟読していった形です。
殊に、小泉八雲の百回忌の法要で、安来の清水寺にて二時間におよぶ朗読ができたことが、恒例の朗読会のきっかけになりました。
今では、ライフワークとして続けていこうと覚悟を決めています。神代の時代から明治以降の近代日本までを、観察者の、博物学者の眼差しで受け止めるハーンの世界観が、現代に生きる僕には切実に必要だと感じているのかもしれません。
出雲地方の観光といえば、まずは、出雲大社。その流れで神話の世界を旅すれば、松江の八重垣神社あたりまでは定番コースだとは思いますが、他にも熊野大社や日御碕(ひのみさき)神社、佐陀神社、美保神社など、出雲神話ゆかりのお社も外せません!
出雲大社よりも四百年も古い、国宝の神魂(かもす)神社なんて素晴らしいですよ。
この間帰った時も高校生の娘と自転車で行きました。地元の人でも行ったことないっていう人が、結構いるんです。かく言う僕も、最近まで訪れることは、実はありませんでした・・・。
島根は、そういった場所に事欠かないですよね。こないだまでドラマでご一緒してた板谷由夏さんも、出雲大社で結婚式を挙げるほど、出雲地方が好きな方で、神魂(かもす)神社にも惚れ込んでいらっしゃいました。
経済一辺倒の価値観で押し通す社会通念やメディアに対する閉塞感からか、霊場を訪れる人が増えたり、神話の世界に立ち戻って、現代を観直すことが渇望されているのかもしれません。振り返れば、日々の暮らしの中で、祖父母や両親から伝説や神話を当たり前のように聞かされて育っていた、この土地のことを、これからも大切にしていきたいと思っています。
島根のお隣、鳥取の観光スポット、現代の神話、境港の「水木しげるロード」も同じ風土から生みだされた場所。時を越え、歴史を辿れば島根と鳥取は一つの地域。鳥取から松江まで山陰本線で辿ると、途中がさびれてて良いんですよ(笑)鳥取の赤崎なんて昔は大リゾート地で、良い温泉もいっぱいあって、このあたりが復活するといいなぁ。
「植田正治写真美術館」とか「島根県立美術館」とか日本有数のコレクションを誇る美術館はあるし、食べ物もおいしい。美保関の青石畳もきれいだし、元々あるものをちょっと磨くだけで見方が変わってくると思います。
行政の垣根を越えたところに、真の、豊かさが見えてくるはず!宍道湖や中海の水の流れ、そのままに、幸いをもたらすには「流れ」が大切なのだと思います。
55年、山梨で生まれ東京に転居、その後7歳で島根県松江市に移り、小中高時代を過ごす。
上京後、75年、劇団シェイクスピア・シアターの創設に参加(松江市島根町、加賀出身の演出家、出口典雄主催)。80年から84年まで劇団状況劇場(唐十郎主宰)に在団。86年『夢みるように眠りたい』(監督 林海象)にて映画、主演デビュー。92年、ドラマ『ずっとあなたが好きだった』(TBS)のマザコン男、冬彦役が社会現象になる。
以後、多数の映画、テレビドラマ、舞台で活躍。7月よりTBSドラマ『官僚たちの夏』に出演。
松江では、12年に1度とり行われる「ホーランエンヤ」という水神祭が今年、行われました。
ところが、少子高齢化や過疎の影響、大橋川の拡幅工事などの要因で12年後には船の漕ぎ手や舞い手がいないかもしれないっていうんですよ。
本当にすばらしいお祭りだし、360年も続いているものですから、12年後に向けて、絶えることのないようにと願うばかりなのですが・・・。
さて、我々に、いったい何ができるでしょうか?