「たたら製鉄」とは、砂鉄を原料として木炭の火力で製錬することで鉄を作り出す日本独自の製鉄法。たたら操業の責任者は村下(むらげ)と呼ばれ、その技術は一子相伝で門外不出とされていました。江戸時代後期から明治時代初めの最盛期には島根の鉄が国内の生産量の半分以上を占めたといわれています。古来から人々は、たたら製鉄で優れた鉄を造るだけでなく、原料となる砂鉄を採取した跡地を広大な田畑に再生し、良質の米やそばを作ってきました。「仁多米」や「出雲そば」はたたら製鉄によって育まれたとも言えるでしょう。鉄の流通はさまざまな文化をもたらし、各地の船頭が唄う民謡の影響を受けて生まれたのが「安来節」です。一説によると古事記のヤマタノオロチ(八岐大蛇)は、島根の山間で行われる「野だたら」の炎を形容したもので、オロチがスサノオノミコト(須佐之男命)に退治された際しっぽから天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)が現れたことは、古代に製鉄をしていた部族がいた証拠ともいわれています。やはり、島根とたたらには切っても切れない固いキズナがあると言えますね。
ネタに掲載している情報は2019年2月1日現在のものです。
また、内容には諸説あるものもあります。