2023年3月18日(土)に開催される、リメしま団員限定の特別企画オンライントークショーに出演いただく、渡部ゆうこさん。
「むすびや」という名で、島根県内にて食にまつわる仕事を中心に「ヒトとヒト」「モノとコト」「ココロとカラダ」を結ぶ活動をされています。そんな渡部さんに「島根での暮らしの」ことをお伺いしました。
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現在の活動内容を教えてください。
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活動内容と言われると多岐に渡っていて、なんとお伝えすれば良いのか難しいのですが、食に関することを中心に「むすびや」という名前で活動しています。島根のマニアックなグルメを旅するツアーガイドをはじめ、「食べる通信」という情報誌の監修や、依頼のあった県内の企業やお店の商品開発やプロモーションなどに携わっています。
島根県の後生に残していきたい食材をどう魅せるかという事を考えるのが好きで、今のような活動になっていますが、食だけに絞らず自分ができることをやっていこうと思っていて、最近ではテルミー(器具を使って体を温めて身体を調える民間療法)を使った施術などもしています。
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活動にいたったきっかけ(経緯)と、活動の目的を教えてください。
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市役所勤務、カフェの運営、会社の代表などを経て現在の働き方になっているのですが、一番大きなきっかけになったのは、3年前に難病と言われる脳と中枢神経の病気を患ったことだと思います。それまでは日々押し寄せてくる仕事に立ち止まれなくなっていて、常に一杯一杯の状況だったのですが、病気になったことで色々と手放すことができたんです。
2年くらいは病気にのまれてしまい、薬の副作用で辛かったり、将来に不安を感じたり、何となくふわふわした時間を過ごしたのですが、今思えばそれがあったからこそ、自分の生き方を見つめ直せたと思います。
「ヒトとヒト」「モノとコト」「ココロとカラダ」を結びたいというのは昔から変わらず思っていることで、それが私の活動の基本にあると思います。
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島根の良さは何だと思いますか?
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まずは人が良いし、美味しいものが多い。自然も神様も近くに感じることですかね。出雲で生まれ育ったのですが、ちょっとした会話の中で、「スサノオ様のお陰だわね」「大社さんがあるけんだわね」と神様が出てくることが普通に思っていたのですが、他の県の人に聞いたらそんな事ないという事が分かって(笑)。
人の名前を知っているように、神様の名前を知っているのも当たり前なくらい身近に感じている。神様って人が忘れたらいなくなるものだと思うんですけど、島根にはそういう存在を常に感じられる何かがあるというのは、すごい事だなあと思います。
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「丁寧な暮らし」とはどういった事だと思われますか?
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物事がちゃんと巡っていること。例えば、巻き寿司を作ろうと思ったら、色んな作業があっていっぺんにやろうと思うとすごく大変ですよね。
でも、日々の暮らしの中でかんぴょうを戻して下味をつけて煮ておく、椎茸をいっぺんに沢山煮ておくなどをしておけば、あとは間引き菜を茹でたりするだけでも巻き寿司が巻けます。
今の時代って良いところや素敵なところだけを切り取って投稿できてしまいますが、お風呂の残り湯で汚れた布をちゃっと洗う、読み終わった新聞紙で掃除するなど、ちょっとした事だけど、そういう日々巡っていく暮らしが丁寧な暮らしだと思います。
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島根だからこそ出来る、丁寧な暮らしとはどんな事だと思われますか?
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季節のものを楽しめるのはもちろんですが、昔ながらの建造物が多く残る島根県では、昔ながらの美意識のようなものを建物などからも感じることができるのではないかなと思います。
調い(ととのい)の文化。机や椅子を綺麗に揃える、調える、物を元あるところに仕舞う、というような日本の古き良き美意識を、島根に暮らしていることで幼い頃から自然に見て身につけている、という事があるのではないかなあと思います。
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今後の活動の方向性を教えてください。
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病気を通じて感じたのは、自分の心と体がばらばらになってしまっている人が、世の中には多いのではないかという事です。むすびやとして頭の中のブラッシュアップも含めて、色んなものを結び直すお手伝いを今後もしていきたいと思っています。
あと、実はずっとライフワークとして大田市で塩づくりをしている塩爺(しおじい)に教わって塩炊きをしていたのですが、ここ最近それが自分の中心軸になってきています。
これからどんな世の中になっても、塩は必ず人間に必要なもの。海から塩が取れたらとりあえず料理ができますよね。塩爺から教わった塩を作る際の仕事の精神も含めて、今後はそれを繋いでいくことを託された気がしているんです。
まだ繋いでいく方法は模索中ですが、塩炊きをする場所の近くに気になっていた物件を借りる目処がついたので、今後は塩炊き体験を行える場を作ったり、自分が塩炊きを通して身につけたことを記録して発信していきたいと思っています。
これからも、その人がその人でいられるような、心とからだを調えるお手伝いをしていきたいと思っています。
島根県出雲市在住。出雲表現部主宰。
島根の食の魅力を発信すべく、公務員を11年で卒業し、当時島根にはまだなかったコミュニティカフェを起業、仲間と共に株式会社を創業、その後、難病を経て生き方を考え直す。そしてまた独立。
現在は、満月と新月の塩焚きの傍ら、ライアーによる心とからだのチューニング、温熱療法イトオテルミー、出雲癒し旅のガイドなど、心とからだを音とぬくもりで結ぶ活動を行う。