リメしまPostに投稿された記事を独自に深掘りする、その名も特集!リメしまPost「そげそげ百景」。
第4回目は「ずもっち」さんが投稿された、大根島にあるミステリーな洞窟『国指定天然記念物「大根島第二熔岩隧道」竜渓洞』を深掘りしました。
今回もリメしま名誉団長である、しまねSuper大使「吉田くん」が一緒です♪
ミステリーな洞窟「竜渓洞」があるのは、島根県東部の中海にある大根島の中心部、松江市役所八束支所から程近く、なだらかな丘がひろがる見晴らしの良い場所。
その市道の道端に、太古の時空へと繋がるゲート『国指定天然記念物「大根島第二熔岩隧道」竜渓洞』はあります。
由志園をはじめ、牡丹鑑賞を楽しめる大根島ですが、約20万年前の火山活動でできた熔岩隧道(ようがんずいどう)つまり溶岩トンネルなど、島の随所にその火山活動を物語る景色を見ることができます。
今回は全長約100メートルの「大根島第二熔岩隧道 竜渓洞」を、「出雲国ジオガイドの会」の松原慶子さんにご案内いただき、見学してきました!
大根島は火山の島。島の土台を作っているのは、地球の奥深くにあるマグマが噴出してできた熔岩の玄武岩です。
島の中央にある大塚山は、標高約42メートル。日本で最も低い火山の一つで、そのなだらかな丘の裾に竜渓洞があります。
大根島には、中に人が入ることができる熔岩洞窟が2つあり、竜渓洞の他に「第一熔岩隧道 幽鬼洞(ゆうきどう)」がありますが、今は公開されていないので入ることができる洞窟は竜渓洞のみです。
約20万年前に噴火した火口があるのが、なんとこの竜渓洞の中!火口が洞窟の中にあるなんて、なんとも不思議な感じがしませんか?洞窟の中にある火口の様子を確認できる熔岩洞窟は、世界的にも稀だそうです。
洞窟内の地図を見せてもらうと、「みけの棚」「産屋」など興味深い名前のついたエリアが約100mにわたり広がっており、今回は「神溜り」と呼ばれるドーム型の火口を案内していただきました。
洞窟内でのお作法をレクチャーしてもらい、いざ竜渓洞へと進みます。階段を注意深く降り、段々と変わっていく植物たちの様子を見ながら幻想的な地底へ…。
洞窟内部に辿り着くと、太陽光が入り込まないため、緑は無く風も感じられませんが、意外と快適に過ごす事が出来ます。気温は年中15℃前後で安定していて、夏は涼しく冬は暖かいそうです。
天井にはつららのような石が無数にあり、地面には溶岩が流れた窪みも。
古代の軌跡を今に残す洞窟の様子は、悠久の時を感じさせてくれます。
最後に懐中電灯で水場を照らし、洞窟に暮らす白いヨコエビや虫を探してみましたが、今回は出会えませんでした。
また次回に期待して、地上へ…。
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竜渓洞のガイドをはじめられたきっかけはなんですか?
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私は岡山県出身で、大学は文系で、卒論のテーマは「古事記」でした。地質学などを専門には学んでいません。笑
結婚を機に鳥取県米子市に来て、出雲神話をはじめとする山陰地方の魅力を学び、発信するグループ「社☆ガール」の一員として活動していました。
美保関をガイドしているうちに地質や地球に興味を持ち、さらに深掘りしているうちに、当時進められていた「国引きジオパーク構想」と出会いました。
そこから約5年前に「島根半島・宍道湖中海ジオパーク」の認定ジオガイドとしての活動を始めました。
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お客様の反応はどうですか?
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「出雲国ジオガイドの会」は2020年4月に立ち上がりましたが、新型コロナウイルスの影響があり、本格稼働し始めたのはここ最近です。現在は、松江市と出雲市在住のメンバー49人で活動しています。
その内、中海サブエリアの竜渓洞をガイドするのは、現在9人です。
毎週土日の14時からは定時ガイドをしているので、予約しなくても現地に来ていただければ、洞窟内を案内させてもらいます。(ガイド料:お1人様500円※中学生以下無料)
少しずつ観光客も戻りつつはあるものの、インバウンドを含め来訪者の今後の広がりを期待しています。
見学したお客様は、ほとんどの方が「すごい!よかった!」という反応をされます。
地元の松江市街地から来た方でも、意外とここを知らない人が多いんですよ。
これまで知らなかった人にも、ガイドを機に大自然の不思議などに興味を持ってもらえたら嬉しいです。
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今後してみたいことなどはありますか?
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大根島は地質遺産です。人と自然が関わり合いながら生きています。
その価値と魅力を伝えることで、「この希少な資源を未来にどう残していくのか、自然に触れて楽しみながらみんなで考えていきましょう」というのが、ジオパークの理念です。
ここには宝物がいっぱい!それを伝えることで、大根島ひいては地球について興味や関心を持つ人が増えて、自然と人が共生できる社会になったらいいと思っています。
昭和10年6月7日 天然記念物指定。
この熔岩隧道は、昭和8年、道路工事の際に偶然発見されたものです。その珍奇な形状から龍神様の住処になぞらえて「竜渓洞」と名付けられました。隧道内には目の退化した世界的にも希少な洞窟性の生物が生息しており、学術研究の対象になっています。
竜渓洞はジオガイドの案内により見学できます。
【所在地】松江市八束町寺津444
【問い合わせ先】
出雲国ジオガイドの会 izumo.geoguide@gmail.com
松江市文化財課 0852-55-5523(平日8:30~17:15)
【料金】500円/人 (中学生以下無料)
【アクセス】松江駅より車で約 30 分、境港駅より車で約 15 分
大根島には一本も川がないと聞いてビックリ!ではどうやって人が住み着くようになったのでしょうか。
なんと、雨が降って熔岩の大地に染み込んだ淡水が、大地の巨大な水瓶に蓄えられているそう。
この水瓶は「淡水レンズ」と呼ばれ、この淡水レンズの縁から湧き出した水を、地元で「かわ」と呼び、島の人々の生活を支えてきました。
湧水は大根島内に数カ所ありますが、今回は、満潮の時には消滅してしまうという幻の「波入の湧水」を深掘りしました。
到着したのはラッキーなことに引き潮のタイミング。
川のように見える湧水には小魚が泳いでいて、その水の綺麗さを物語っていました。
岩の隙間から渾々と湧き出る水を手にとって口に含んでみると、港にあるというのに、確かに淡水です。
ちょうど通りかかった地元生まれの女性が、「昔はここで野菜を洗ったり洗濯していたんだよ」と教えてくれました。
「飲めますかね?」との問いには、「さぁ、私は飲んだことないけどね(苦笑)」。
看板によると、県指定の名水百選(歴史の泉)だそうで、今でも雑用水として利用されているとのこと。
なるほど、早く気づけばよかった。。。今のところお腹は元気。何はともあれ、大根島の大地の不思議に魅了された1日でした。